実は無関係ではいられない不法投棄

高度経済成長期から平成初期にかけて頻繁にみられた不法投棄問題ですが、現在は大幅に減少傾向にあります。
しかしながら廃絶には程遠く、環境省による令和2年の調査では残存量がいまだ1,567.4万トンもある状態です。
普通に生活されている方にとっては一見無関係に思える「不法投棄」。
あまりピンとは来ない問題ではありますが、もしかすると知らないうちにその片棒を担いでいるかもしれません。

今回は日常に潜む不法投棄のリスクについてご紹介したいと思います。

■不法投棄によって引き起こされる問題

不法投棄によって引き起こされる問題は、大きく3つがあります。

・大気汚染

なんらかの原因で不法投棄された廃棄物に火が引火すると、悪臭のほかに有害物質が発生します。
有名なのはダイオキシンで、これは毒性が強く発がん性なども含まれていることから、現在も警戒視されている物質です。
ベトナム戦争で使用された枯葉剤には、このダイオキシンが含まれており、現在も後遺症に苦しんでいる人々がいます。
大量の不法投棄によって引き起こされた「豊島事件」では、住民の子どもが喘息を発症したケースも。

・水質汚濁、土壌汚染

不法投棄で最も多い廃棄物は「建設混合廃棄物」という調査結果があります。
これらの廃棄物に含まれる鉛やフッ素などは毒性があり、土や水に混ざると汚染して、周囲に悪影響を及ぼします。
近年は各国で海洋汚染が問題視されており、さまざまな生態系に影響しているとのことです。

・景観、風紀の乱れ

景観が悪くなってしまうと、周囲の治安が悪化するとされています。
原因は多くありますが、その一つとして考えられるのは「割れ窓理論」です。これは1枚の窓ガラスが割られていると、さらに割られる窓ガラスが増えて、一つの建物にとどまらず地域全体に広まるという、環境犯罪学の理論です。

■不法投棄を減らすためにできること

この不法投棄問題ですが、実は知らずのうちに荷担している可能性があります。
不法投棄をするのは排出事業者の次に、無許可業者が多いという結果が、環境省の調査によって明るみに出ています。

この無許可業者の内訳については不明ですが、不用品回収業者のなかには無許可で行っている業者が数多くいる現状です。
悪質な業者は高額な回収費を要求する以外に、人けのない場所で不法投棄を行っている事例もあり、不法投棄された回収品をたどって、警察から連絡を受けるという事態にもなりかねません。

そのため「無料回収」を謳っていたり、事業所の住所がはっきりしなかったりする業者には回収を頼まないようにしましょう。
不法投棄問題を減らすには、きちんと許可を得て営業している業者に依頼するのが大切です。

過去の記事で業者の見分け方についてまとめていますので、回収を頼む際は参考にしてみてください。
「多発する悪徳業者とのトラブルを避けるために」>>

■まとめ

不法投棄は景観の悪化だけでなく、健康被害にも発展する有害なものです。
自身や将来のためにも、不法投棄につながる無許可業者への不用品回収依頼はしないようにしましょう。

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